非接触給電の電磁誘導方式は、送電側コイルと受電側コイルの2つが使われており、磁束を発生させる原理は、IH(誘導加熱)と同じです。(IHでは、IHコイルと被加熱物の間で磁束を発生させます)
例に挙げた電動歯ブラシや電気シェーバー等の小型の電気機器で使用される非接触給電用コイルは、小電流ですむため単線の銅線を巻いたコイルが使われますが、電気自動車や自動搬送車などで使われる非接触給電用のコイルは、インバーターからコイルへ高周波の大電流を流す必要がある為、リッツ線を巻いたコイルが使われます。
IH(誘導加熱)コイルもリッツ線を巻いたコイルですので、IH専科のコイル加工技術は、電磁誘導方式の非接触給電用コイルの分野でも、活用して頂けます。
非接触給電(ワイヤレス電力伝送)技術には、概ね次の3つの実現方式があります。
これらの方式にはそれぞれ特徴があり、用途によって使い分けがされています。
2つのコイルを近接させて置き、一方のコイルに電流を流すことで発生する磁束を一方のコイルに結合させることで電力を送る方式です。
テレビやラジオと同じ原理で、空中の電波をアンテナで受信し、そこから電力のみを回収する方式です。
97年にMITがデモンストレーションを行い一気に注目を集めた方式で、コイルやコンデンサを使って共鳴(共振)回路を作り、電界もしくは磁界を共鳴させることで送信側から受信側へ電力を送る方式です。
電動歯ブラシや電気シェイバなど、多くの小型機器の充電に採用されている「電磁誘導方式」を取り上げて説明します。電磁誘導方式は、離れた2つのコイルの片方に電流を流した際に生じる磁界の変化を利用することで、2つのコイルが接触していなくても、もう片方のコイルに電力を発生できる原理です。この原理を利用して、電磁誘導方式は非接触充電を実現しています。