IHヒータで被加熱物を加熱する場合、被加熱物となり得るものは磁性体である鍋や管になるのですが、実際に加熱したいものは、鍋や管の中にある液体や気体であるという場合が多いのではないかと思います。
例えばお風呂を沸かす時に、湯船の下の方が冷たいと感じる事があると思いますが、これは水を温めると水が膨らんで軽くなり上に昇ろうとし、逆に冷たい水は下に降りてくるため、上下の流れができるからです。また、暖房を入れた時、床より天井の方が暖かく感じるのも、暖かい空気と冷たい空気が上下に動きながら、部屋が暖まっていくからです。このような水や空気の流れによって熱などのエネルギーが伝わっていく現象を対流と言いますが、IHヒータで鍋や管の中の液体や気体を加熱する場合にも、この対流という現象は起ります。IHヒータを使って、液体や気体を効率よく加熱することを考える場合には、この対流という現象を考慮する必要があります。例えば、図の様にIHコイルを鍋の中央に配置して加熱する場合と、外側に配置して加熱する場合とでは、対流の方向に違いが出ます。また、鍋の下からではなく、鍋の側面にIHコイルを配置した場合にも、当然違いが出てきます。更に、もし鍋の中(水の中)に、IHコイルを配置することが出来たらどうなるのでしょうか。(水中IHヒータ)
当社では、IH技術を活かし新たな分野へ挑戦するため、常にIH技術の可能性を創造し日々の研究開発に努めております。
IHコイルの配置で、鍋の中の水の流れ(対流)が変化する